サルのぬいぐるみと新宿で遊んだ

 今日は映画館を梯子して『天上の花』『MEN 同じ顔の男たち』『ドント・ウォーリー・ダーリン』を見ようと思っていたのだが、寝坊して『天上の花』は見れなかった。やばい男ムービー3本立てをしようといった目論見はなく、まだ見てない新作のうち、見たいものを選んだらこうなった。抑圧される女たちの話、流行ってるよなあ。寝坊したので、逆に朝ゆっくりできた。湯船をはって、シャワー浴びて、ラピュタのパンを作って食べた。美味しかった。

 

 家にいても二度寝して頭痛を起こすだけなので、とりあえず出掛けることにした。毛玉だらけの服かペラペラになった服しかないので、服を買わないとなあ、と思った。今日行く映画館のある新宿まで行けばなんかあるだろうと見当をつけ、電車に乗った。GoogleMapで新宿三丁目付近を眺めていると、IKEAを見つけた。IKEAって、街中にあるんだ……。私が知っているIKEAは、車でしか行けないような閑散とした港町にデーンと立っているものである。予定を変更。新宿IKEAに行った。

 三階から順番におりて、かねてより購入の機会を狙っていたウォールアートと、ベッドルームに置く小さい椅子、あと何かいいものがあれば購入することにした。あちこちにサメのぬいぐるみが積まれている。だいぶ前、一緒に住んでいた友達がIKEAにサメを求めに行くのに同行する道すがら、吸い込まれるように水族館に入ってしまい、友達はそこでサメのぬいぐるみを買っていた。あの水族館のサメと比べると、IKEAのサメはディテールが弱い。やたらおなかの膨らんだサメを眺め、歩きながら視線を移していくと、サルと目が合った。磁石が吸い付くように、私の手はサルを拾い上げた。2000円ちょっとするのか、と思い一度売り場に戻したのだが、もう手遅れで、ぬいぐるみ売り場を一周したあと、同じ子を拾い上げて抱っこした。連れて帰ることにした。

 サルを抱っこしながらウォールアートと椅子をピックアップし、レジへ向かった。本当はラグも欲しかったけど、機会を譲ることにした。プラントミートボールとマッシュポテトのランチボックス500円、ソフトクリーム50円を購入し、店内で食べた。隣の若い人たちの会話を盗聴した。異世界だった。

パパ活の子ってすぐわかるけど、ママ活って分かんないよね」「てかママ活ってなにするの?」「最初にお金貰って、買い物とか行って、そこで欲しいものあったら手当とは別で買って貰えるんだって」「いいなあ」「うん…え?笑」「いいなは違うな笑」「でもお金あり余ってるオバとかがさ、ちょっとお金出したらキュンとすることとか言ってくれるんだもんね、そりゃ買うよね」「それぞれだよね」

 そういえば職場の若い同僚が、今高校卒業したぐらいの世代の人たちは普通にバイトしてると本当にお金がないから、お金を得る手段に一度は性産業を選択肢に入れる、と言っていた。財務省まじ許せねえ。増税反対。

 サルを抱っこしながら新宿を闊歩し、映画を2本みた。どっちも良かった。以下ネタバレあり。

 『MEN 同じ顔の男たち』は、次々孕んでずるずると産まれてほかほか湯気を立てている男たちを見る主人公が、冷静に軽蔑の目で見下ろしていて良かった。最後の元旦那の一言に、「あなたはどうして欲しいの」と冷静に返す、決して尊厳を失わない態度が良かった。ひとりになりたくて息抜きに出掛けた場所で、ことごとくクソ野郎どもに不快な思いをさせられるの、あるある過ぎる。あと、トンネルのこだまのシーンで、自分のこだまに吸い寄せられるように歩みだすのが面白かった。

 『MEN 同じ顔の男たち』に「私にも人生があるの!」と叫ぶセリフがあったが、『ドント・ウォーリー・ダーリン』にも「(あれが)私の人生だった!」と叫ぶセリフがあった。最後まで救いが描かれないタイプの映画。今のところ、現実に救いがないもんな。信頼できる。あとフローレンス・ピューの顔、なんかすごい官能的じゃないですか?なんでだろう。いろんな女が出てきて、決していつも手を取り合えるわけではないところも良かった。